頭痛の王様「群発頭痛」

 

 片頭痛や緊張型頭痛に比べれば患者さんは少ないのですが、頭痛の王様とも言われる激しい頭痛を起こす「群発頭痛」は二十才から三十才の青年男性に多く起こります。

 明け方のほぼ決まった時間に突然目の奥が激しく痛み出し、「目をえぐられるような」感じがして、転げまわるほどの頭痛が出現します。片頭痛は動くと痛いのでおとなしくしていますが、群発頭痛は痛みがひどいためじっとしていられません。痛みを紛らわすために壁に頭を打ちつける人がいるくらいです。痛みは十五分から二時間経つと自然に収まります。いったん起こり始めると一~二ヶ月の間、毎日のように頭痛が起きますが、それを過ぎれば何事もなかったかのように全く頭痛がしなくなります。

 このように群れをなして頭痛が発生するので「群発」頭痛と呼んでいます。頭痛が起きている期間を「群発期」といいます。群発期が過ぎると頭痛は起きなくなりますが、次の年や二~三年後に同じような時期に再び起こります。

 片頭痛は頭痛の前に前兆を感じる人がいますが、群発頭痛は前兆がありません。しかしなかには痛みが起こる側の首に強い凝りを感じる人もいます。

 片方の目や目の周りが睡眠中に激しく痛み、涙や鼻水もでてきます。

 

内頸動脈のアレルギー?

 

 群発頭痛も片頭痛と同じように血管が拡張して起こる血管性頭痛です。

 片頭痛では外頚動脈という脳を覆う硬膜、頭蓋骨そして皮膚に血液を送っている動脈が拡張するものです。それに比べ、群発頭痛は脳そのものに血液を送っている内頚動脈が拡張することが原因と考えられています。

 頭が痛いときに傷む側の目が充血したり、涙が出たり、まぶたが下がったりしますが、これは拡張する内頚動脈の周辺に交感神経や副交感神経などの自律神経があり、これが刺激されるからです。同じ理由で、頭痛と同じ側の鼻が詰まったり、鼻水が出たりします。

 群発頭痛の原因はよく分かっていませんが、片頭痛ではセロトニンが悪さをしていますが、群発頭痛ではヒスタミンが犯人ではないかと推測されています。

 ヒスタミンはアレルギーを起こす物質として有名なので、群発頭痛はよく「内頚動脈のアレルギー」と呼ばれています。

 なぜ深夜の一定の時間に起きるのかも不明です。ちょうどその頃に自律神経が副交感神経優位から交感神経優位にスイッチが入れ替わりますが、このスイッチを入れるタイミングを計っている体内時計が狂うためではないかとも言われていますが、はっきりしたことは分かりません。

 顔面に突然激しい痛みが起こる三叉神経痛という病気がありますが、三叉神経痛は痛みの時間が数十秒くらいで、目の充血や涙などの随伴症状は出ません。

 

群発頭痛の予防と治療法

 

 頭痛が起きやすくなっている群発期に絶対守ってもらいたいことがあります。それはお酒を飲まないことです。アルコールは血管を拡げますので、頭痛を引き起こしてしまいます。もちろん群発期以外のときは飲んでも大丈夫です。

 狭心症の治療薬のように血管を拡張する薬は群発頭痛を誘発するので主治医にご相談ください。

 睡眠中に発作が起こることが多いので、昼寝はしないようにしてください。昼間に頭痛が起きそうになった場合は、窓を開け、深呼吸を繰り返すと楽になります。

 また入浴後に発作が起こる人は湯船に長くつからず、シャワーで済ませるなどの工夫をしてください。

 これは頭痛すべてに関係することですが、ストレス、疲労、睡眠不足なども群発頭痛の誘因になります。

 群発頭痛の痛みに対しては市販されている鎮痛薬は全く効果がありません。片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤が有効です。またなぜか分からないのですが酸素が効果的です。痛いときに病院に来られて百%の酸素を二十分くらい吸っていると頭痛が軽くなったり、消失したりすることがあります。ただしスポーツ店で売っているリフレッシュ用の酸素はほとんど効果がありません。

 片頭痛の起こり始めの時に使うと効果があるエルゴタミン製剤が、群発頭痛の予防にも効果があります。発作が決まった時間に起こる人は、その一~二時間前に起きて、エルゴタミン製剤を服用することです。

 いちいち途中でおきるのは嫌な人は、エルゴタミン製剤を寝る前に服用してください。効果が約六時間持続します。

 副腎皮質ホルモン、カルシウム拮抗薬、躁病の治療に用いられるリチウム、抗てんかん薬のバルプロ酸なども使われます。起こる時期が一~二ヶ月なので長期連用による副作用は少ないので安心してください。