頭痛と言えばだいたい緊張型頭痛

 

 頭痛を起こす病気は百種類ほど知られていますが、頭痛の原因の約半分は「緊張型頭痛」です。緊張型頭痛は精神的緊張が肩や首の筋肉のこりを起こし、それを頭痛として感じるものです。片頭痛は女性に圧倒的に多いのですが、緊張型頭痛は男女差がなく、中高年にもっとも多く発生します。日本人の成人の五人に一人が緊張型頭痛で悩んでいます。

 片頭痛は始まりと終わりがハッキリしていて、メリハリがありますが、緊張型頭痛はいつ始まったのか、いつ終わったのかわからない、梅雨空のようにだらだらと続く痛みが特徴です。片頭痛のように寝込むことは少ないので、かえって痛む頭をさすりながら仕事を続けなくてはならず、かえってつらい頭痛ともいえます。

 片頭痛は額やコメカミなど頭の前に起こることが多いのですが、緊張型頭痛は後頭部から首筋にかけておもぐるしい痛みが起きます。ひどくなると頭全体が締め付けられるような感じがします。また体がだるく、目の奥が重く感じることも多くなります。

 精神的な緊張が首の筋肉のコリをつくり、それが日本人の華奢な体格と相まって緊張型頭痛が起きます。したがって、精神的な緊張を取り、首を鍛えれば予防できることになります。

 

首の筋肉は働きすぎ

 

 

 人間は脳を発達させて生存競争に打ち勝ってきましたが、その結果それを守る頭蓋骨もしっかり作らなくてはならなくなりました。そのために体に不釣合いなほど頭がでかくなりました。

 でかい頭を支えるのは首の筋肉ですが、首にはそのほかに大切な役目もあります。それは気管や食道そして脳に栄養を送る動脈さらには自律神経の束など人間が生きていく上で非常に大事なものの通り道になっているのです。この通り道が首の前にありますので、ここをさけて首の後ろに頭を支える筋肉が集中しています。

 首は頭を支えるだけでなく、頭を回転させたり、首を前後左右に曲げたりと実に多彩な運動をしています。このように首は大変な重労働を強いられています。この首の筋肉の疲労が「緊張型頭痛」の原因です。

 外国人にはこのタイプの頭痛は少ないといわれています。それは体格が日本人と違うからです。欧米人は肩を含めた上半身がしっかりしているので、腕の重さは肩が支えています。ところが日本人は不二家のペコちゃんのように頭が大きく、鶴のように首が細く長く、おまけに博多人形のようになで肩の体格の人が多いので、一本で六 kgもある腕があたかもハンガーのように首から直接ぶら下がっている状態となっています。その上にスイカと同じ重さの頭が載っているのですから首が悲鳴を上げるのも無理はありません。これらの理由から緊張型頭痛は日本人に非常に多く、『日本人の頭痛』とも言われています。

 頭痛は「頭に重い石を載せられているような」「ハチマキをきつく締め付けられているような」はっきりしない頭痛です。筋肉は首の後ろと頭の後ろに大きなものがありますが、それ以外に耳の前やコメカミのところにも筋肉があり、一緒にここも疲れてくるためにハチマキを締め付けられているような痛みが出てきます。

 緊張型頭痛の起こる前にふわふわした感じが起こることがあります。このふわふわしためまいは、首や頭を支える筋肉が収縮することによって、頭の位置の情報が正確に脳に伝わらなくなり、頭の位置がしっかり定まらないために起きます。

 

精神の緊張が首の筋肉を緊張させる

 

 

 身体的そして精神的ストレスが緊張型頭痛の根本的な原因となっています。このストレスが首の周りの筋肉を収縮させます。もともと人間をはじめとした動物はストレスを感じると首をすくめる行動を自然にとります。現代社会はさまざまなストレスにさらされる社会ですが、残念ながら人間は亀のように首をすくめることはできないので、首の筋肉が必要以上に緊張します。すると筋肉の血の流れが悪くなり、老廃物がたまり、痛みの神経が刺激されて痛みが起きてきます。

 睡眠中は首の筋肉が休養できる唯一の時間ですが、それも考え事でなかなか寝つかれなかったり、枕が高くて首の筋肉が引き伸ばされた状態だと、筋肉がうまく休めませんので、首の筋肉の疲れがとれません。

 緊張型頭痛の方の性格は、片頭痛の性格とほとんど同じです。緊張しやすいタイプ。ストレスを抱え込むタイプ。物事を堅くまじめに考える几帳面タイプ。などです。したがって、片頭痛だけ、緊張型頭痛だけの人はむしろ珍しく、両方のタイプが混合している人がほとんどです。この混合型頭痛の人は今自分が感じている頭痛がどれに当てはまるのかを常に判断して、適切な対処をする必要があります。

 

目や不自然な姿勢に注意

 

 最近このタイプの頭痛を訴える方が増えてきました。それはストレスが多くなっていることも原因ですが、コンピュータを使った仕事が増えたためでもあります。コンピュータの画面を見ながら、不自然な姿勢を長時間続けなくてはならない仕事が多く、現代病の一種ともいえます。

 また頚椎症など首の骨に異常がありますと、首の筋肉に過剰な負担がかかり、頭痛がします。下あごは首の後ろの筋肉と共同で頭のバランスをとっていますので、かみ合わせの異常があると、首筋が凝ってきます。

 悪い姿勢や一定の姿勢をずっと保ち続けていたり、目を酷使したり、枕の高さがあわない。首の筋肉が弱い。ストレスが持続する。これらを一度にしているのはパソコンを長時間使う人です。自分はこれに当てはまると思った方は後で述べる予防法の実践をお願いします。

 

緊張型頭痛の予防と応急処置

 

 頭痛を感じたら手持ちの良く効く頭痛薬を飲むことですが、それがすぐにできない場合にはまずひと休みしてください。そのあたりにいる人に首や肩をマッサージしてもらってください。そのあたりに犬や猫しかいない寂しい人は蒸しタオルで凝った部分を暖めたり、頭や首を回したりして、首の筋肉を柔らかくしてください。

 病院では鎮痛剤以外に、精神的なストレスなどから起きている場合は安定剤を、筋肉の緊張がひどい場合は緊張をほぐす薬を、処方します。しかし薬で治せるのは一時的なものです。大事なのは後で述べる予防策です。

 コンピュータの画面を見ながら、一心にキーをたたいていると、ずっと同じ姿勢になってしまいます。こうなると使う筋肉がいつも同じになり、筋肉の中に血液がたまって痛くなります。これを予防するにはデータを入力する途中にこまめに休みをとることです。人間の集中力は五十分くらいしか持ちません。丁度小学校の授業のように時間を細かく区切って休憩を取りましょう。休憩時間は思いっきり伸びをして、息を思いっきり吐くと凝っている筋肉がほぐれます。暖かいタオルやホットパックを首や肩に当てるのも効果があります。

 また腕を宙に浮かせたまま作業をすると、首の筋肉が凝りますので、腕を机に乗せたり、肘掛に乗せたりして下さい。さらに考え事をするときには上を向いて考える習慣をつけると首の緊張をとることができます。

 積極的な予防策としては自分の首の筋肉を鍛えることです。登山家は数十kgほどもある荷物を担いでいます。いつも肩や首に緊張を強いられているはずですが、ほとんど頭痛もちの人はいないといわれます。これは首の筋肉が鍛えられているからです。頭の前後側面を手で押し、それを頭の力で押し返す、といったストレッチをすると首の筋肉のトレーニングになります。肩を回す、上下するなどのストレッチも有効です。

 もうひとつ手軽にできるのが入浴です。浴槽にどっぷりと浸からないで、水面を胸あたりにするいわゆる半身浴は、心臓の負担をかけないので健康的な入浴法ですが、頭痛にも効果があります。

 

片頭痛との違い

 

・片頭痛はズキズキしますが、緊張型は重い頭痛が基本です。

・片頭痛は片側だけ痛む場合が多いのですが、緊張型頭痛は後頭部から首筋にかけて両側が同じように痛みます。

・片頭痛は吐き気や嘔吐を伴いやすいのですが、緊張型はあまり伴いません。

・片頭痛がしているときにお酒を飲んだり、お風呂に入ったりすると頭痛がひどくなりますが、緊張型頭痛では精神的ストレスがとれて楽になります。

・片頭痛では腫れる動脈の大部分が耳の前を通っていますので、耳の前が痛くなりますが、緊張型は耳の後ろに太い筋肉がありますので、耳の後ろが痛くなります。

・午前中に血管が緩みやすいので片頭痛は午前中に多く、疲労がたまるので緊張型は午後に強くなります。

・片頭痛は光、におい、音などに過敏になり、それを避けたくなります。緊張型はそのようなことはありません。