頭痛はほとんど朝に起こる

 

 頭痛を時間軸でまとめて見ますと、ほとんどの頭痛は朝に起きます。脳腫瘍は脳圧が寝ている間に高くなります。睡眠時無呼吸は呼吸が弱いため二酸化炭素がたまって、脳の圧力が高くなります。高血圧の方は朝方に血圧が急激に上がるときに頭痛がします。急性副鼻腔炎は夜間に膿がたまるために起きた時に痛みがあります。うつ病は朝早く目が覚めたときに頭痛がします。群発頭痛は朝というより深夜に起こります。

 これに比べて緊張型頭痛は寝ている間に頭を支える筋肉が休養できますので、起床時は楽です。起きて活動を始めるとだんだん首の筋肉が凝ってきて、昼前から夕方に頭痛がしてきます。

 時刻と関係がないものの代表はクモ膜下出血による頭痛です。そのほか脳卒中が発症したときにも頭痛が起きます。頭部外傷後に発生する慢性硬膜下血腫は頭を打ってから一から二ヶ月後に痛くなってきます。

 

子どもの片頭痛

 

 小さい子どもははっきりと自分のことを伝えられない場合が多いので、こともが頭痛を訴えたときは、親は自分のこと以上に心配になります。

 子どもの頭痛の大部分は片頭痛です。親が頭痛もちの場合は子どもに遺伝しますので、『早寝・早起き・朝ごはん』の規則正しい生活で片頭痛を予防してやることが大切です。ただし同じ片頭痛でも大人のそれとは大きく違っています。

 まず大人の片頭痛は女性に圧倒的に多いのですが、十二才未満の小児に限って言えば男児に多いのです。女の子は思春期以後は女性ホルモンの影響で片頭痛が急激に増えてきます。

 一般に四~五才から始まるといわれていますが、それより小さい子供はうまく頭痛を訴えられないだけかもしれません。

 大人の片頭痛よりも突然に起こり、比較的早く頭痛が消失します。前兆は空想的な映像が現れたり、物がゆがんで見えたり、ものが小さく見えたり大きく見えたりします。

 一才未満の子供が突然泣き出すといういわゆる「疳(かん)の虫」は片頭痛の可能性があると考えられています。

 子どもの片頭痛の約二割は成人になるまでに消失しますが、その他の子どもたちは大人の片頭痛になってゆきます。

 子どもの頭痛のほとんどは片頭痛ですから、朝に頭痛を訴えることがほとんどです。登校前に「頭がいたい」といいますので、「学校をいやがって、ずるやすみをしている」と親が思いがちです。特にお母さんが片頭痛の時には、まず子供の頭痛が片頭痛ではないかと考えることが大事です。頭痛の続く時間はせいぜい二~三時間で、午前中のうちに良くなることが多く、頭痛がなくなったらケロッとして遊んでいます。

 大人はすぐに精神的な問題点がないかどうか探そうとしますが、片頭痛の可能性が高い場合は、大人が過常に反応しないことが大切です。

 また大人の片頭痛と違って、右とか左とかに頭痛が偏っていません。頭痛の前兆も出ないことが多いので、突然に頭痛を訴えることになります。また痛みはあまり拍動感がなくて、持続性の頭痛であることが多いようです。

 嘔吐やめまい感が大人に比べてより強く出やすいので、頭ではなくて「おなかが痛い」と訴えることがあります。

 幸いなことにアセトアミノフェンが有効です。アスピリンは飲ませなで下さい。ライ症候群という恐ろしい病気になる可能性があります。痛み止めの使用は完全に痛みが取れることを目標にするのではなく、何とか学校に行ける程度でよいです。薬で落ち着いたり、もともと頭痛がそれほどひどくないときは積極的に学校に行かせてください。学校へ行くことによって精神的緊張が高まり、頭痛が消えるのが早くなります。これは大人で「気合を入れる」のと同じ理屈です。

 片頭痛以外で注意する必要がある子どもの病気は髄膜炎、脳腫瘍、起立性低血圧症があげられます。まず風邪を引いてから高熱が引かずに、頭痛を強く訴えるときは髄膜炎の可能性があります。朝方の頭痛がかなり長期間続くときは脳腫瘍の可能性を考えなくてはいけません。脳腫瘍のお子さんでは頭痛以外に他の症状が現れていることが多いようです。私が経験した患者さんでは、「最近かけっこの時につまずくことが多くなった」「テレビを近くで見るようになった」「右手をあまり使わなくなった」などの症状がありました。

 自律神経の調節機能に問題があると立ちくらみや失神などの脳貧血症状をおこす「起立性低血圧」の可能性があります。約八割の子どもが同時に頭痛を訴えます。

 心配なことがありましたら、悩むことなく病院を受診してください。

 

お年寄りの頭痛

 

 年をとってきますと、一般的には頭痛が起きにくくなります。特に片頭痛や群発頭痛からは解放されます。ただし緊張型頭痛はどの年代でも同じ頻度で見られます。

 したがって「いつもの頭痛」の頻度が少なくなる代わりに、「ヤバイ頭痛」の頻度が増えてきますので、お年寄りが頭痛を訴えたら何かあると疑っても良いほどです。

 お年寄りに多い「ヤバイ頭痛」としてはクモ膜下出血、脳出血、慢性硬膜下出血、側頭動脈炎そして帯状疱疹などがあげられます。

 

目覚まし時計頭痛

 

 目覚まし時計のようにある一定の時間になると頭痛が起きます。頭が痛くて目が覚めて時計を見るといつも同じ時刻だったということがあります。これは特別に目覚まし時計頭痛といわれています。

 年配の人に見られ、ほとんど連日のように起こり、痛みそのものは二時間程度で消失します。長い人で十年以上も続いている方もあります。原因は明らかではありませんが、生物時計の狂いではないかと考えられています。毎日同じ時間に頭痛が起きることは群発頭痛に似ていますが、群発期がないことが違います。

 夜寝る前にコーヒーや濃いお茶など、カフェインの入った飲み物を飲むと予防効果があります。

 

睡眠時無呼吸症候群

 

 スースーと軽いいびきならかわいいのですが、ゴーゴーといういびきは呼吸が止まるのではないかと気になって寝られません。いびきのときに呼吸が止まると脳に酸素が回らなくなり、起きた時に頭痛がします。またいくら寝ても寝不足で、疲労感がなかなかとれず、日中に激しい睡魔に襲われます。こうなると睡眠時無呼吸症候群という病気になります。

 病気の定義としては一晩の睡眠中に十秒以上の呼吸停止が三十回以上見られる、あるいは一時間の睡眠中に五回以上の呼吸停止が見られる場合となっています。実際にはこの病気を専門で見てくれる耳鼻咽喉科などの病院で診断を受けてください。

 原因は肥満、老化、過労などです。肥満によって首の周囲についた脂肪が気道を狭くします。また扁桃腺が腫れていたり、鼻アレルギーや蓄膿症が原因となっていることがあります。

 そのままにしておくと、日常生活の質が悪くなるだけではなく、高血圧、心不全、狭心症、心筋梗塞などの恐ろしい病気の原因ともなりますので、是非病院を受診してください。朝起きた時にいつも頭痛を感じるが、服を着ている間に痛みがよくなってくる方はこの病気の可能性があります。

 

 

日記に頭痛のことも書こう

 

 片頭痛は日常生活と密接に起こってきますので、自分の片頭痛のクセを知っておくのは治療にも予防にも大変に役に立ちます。

 日記をつけられている方は日記に頭痛の内容を、日記を書かれていない方は手帳にちょっとメモをしておくと後でまとめて振り返るとクセが分かります。

 頭痛の起こった時間、強さ、どのような頭痛か、頭痛以外の症状があったか、女性の場合は生理との関係、その日の天候や気温、服用した薬の名前と効果があったかどうか。などを書いておくと成績優秀です。

 「きちんと書かないといけない」とプレッシャーをかけるとかえって頭痛がしますので、思い立ったときで結構です。