頭の知恵袋
今まで生きてきて一度も頭痛を経験したことがない人はほとんどいないと思います。普通は風邪だから、寝不足だから、昨日飲みすぎたからなど頭痛が起きた理由が思いつきます。思いつけば、これまでの経験を生かして風邪薬を飲む、とにかく寝る、もう二度と深酒はしないと誓いながら、痛み止めを飲むなどの処置を取ってください。
しかし問題なのはそのようなはっきりとした原因がないのに繰り返し起こるおなじみの頭痛です。肩が凝って頭全体が重苦しくなる頭痛や、こめかみがズキズキと脈打つような痛みが起きるととりあえず薬を飲んで早く頭痛が去るのを待つしかありません。頭が痛いと簡単に仕事を休めるお偉いさんや、学校を休める学業成績抜群の方はいいでしょうが、ほとんどの人は痛い頭をさすりながら会社や学校に行かざるを得ません。日本人は苦痛に耐える姿に美徳を感じ、少々のことは「じっと我慢の子」を演じてしまいがちです。そのために典型的な片頭痛の患者さんでも十人に一人しか病院を受診してくれません。最近は特効薬が出来ていますので、我慢しなくてもかなり痛みをコントロールできるようになりました。本書で自分の頭痛のパターンを分析して、病院を受診するほうがよい場合は遠慮しないで下さい。
頭に限ったことではありませんが、痛みというのは本当に嫌なものですね。いっそ痛みを感じない体だったらいいのに…と恨んでしまいますが、もし私たちが痛みを感じなくなれば大変なことになります。無痛無汗症という非常にまれな病気があります。痛みなどの感覚を伝える神経に先天的に障害があるために痛みを感じません。そのため例えば頭を打っても痛みがないために、次に来る危険から身を守るすべを学習できないために大怪我をしてしまいます。痛みはいわば警告信号です。この信号をむやみに忌み嫌うのではなくて、どうして痛むのかをまじめに考えてその原因を探ってみましょう。そうすれば、いつの間にか頭痛を忘れる生活が送れます。
『こつこつと頭痛のない晴れやかな生活へ!』が頭の知恵袋のモットーです。ここでお伝えしたいことは、①病院で見てもらったほうがよい頭痛の見分け方、②いつもの頭痛のうまい対処法、③「あたまの痛い」状況の克服法です。
頭痛の医学的な説明だけではなく、頭痛の元となる『あたまのいたい』状況をどのように克服してゆくかを筆者の独断と偏見でお話したいと思います。
またこれらの困った頭痛は困った生活習慣が誘因となっていることが多いので、それを改善することでかなり予防できます。本書ではお勧めできる生活習慣を解説します。
さあ、心ゆくまで頭痛ワールドを楽しんでください。
①いつもと違う頭痛は脳の病気の可能性あり。迷わず病院へ。
②特に突然の激しい痛みはクモ膜下出血の可能性あり。
③片頭痛に特効薬ができました。いつもの頭痛と諦めずに病院へ。
④診療科は頭痛の専門である脳神経外科か神経内科を受診する
⑤いつもの頭痛は生活習慣を見直すことでかなり改善できる。